執筆:EugeneAmnis
パーレート図
カイゼン活動を具体的に始める時、何に対して改善をすれば良いのか。悩むときがあります。このような場合によく利用されるのがパーレート図です。
事象と割合を知るためのグラフ
パーレート図は左軸に累積百分率、右軸に件数等の線形目盛を配置した線グラフと棒グラフの複合グラフのことを言います。このグラフはある製造現場の不良件数や客先からの苦情などを事象ごとに解析する場合に利用します。
一般的には割合の多い事象を炙り出したりして効果の高い領域を選別するために利用されます。また各事象にまたがる要因が存在した場合は個々の割合が低くても活動の対象にする場合があります。
作成手順
パーレート図を作成するにあたっては各表計算ソフトを使うのが手早いです。ただグラフの作成・調整方法は各ソフトでバラバラなので、ここでは手動での手順を提示します。
- 対象となる各事象ごとの件数を計数する
- 計数の多い順に事象を並び替える
- 各事象ごとの占有率を求める
- 右軸に件数を配置した棒グラフを2.の順番で作成する
- 4.の棒グラフの左軸に百分率の目盛を配置する
- 左軸の始まりを始点とし、棒グラフの各棒の右線上に点を配置した各事象の累積線グラフを作成する
- 完成
文章での説明で良いのでは?
「表計算ソフトなどが無く手計算でノートなどを用いて解析をしていた時代であればグラフ作成を通して小難しい計算を省略するメリットがあるかもしれないが、表計算ソフトで数クリックすれば占有率の高い事象を見つけられるのに、なぜ手間暇かけてグラフ化しないといけないのか?」とかつての後輩に聞かれたことがあります。
彼からすれば会社のフォーマットを埋めるだけの面倒い作業に思えたのでしょう。実際組織に出す報告書などは簡潔にすることが求められます。「〇〇が最も高い占有率であったので活動の対象にした。」と一文書けば話は済みます。しかし、報告書は妥当性の証明も重要であることを忘れてはいけません。
当然ながら、ただ一文結果のみを書いただけでは読み手は妥当性を判断すことは出来ません。その背景を知る必要があるのです。ではその背景を文章で記すことは適切かといえばそうではない場合が多いでしょう。文章を多くすることは焦点を散らす要因になりかねません。グラフはその間を埋めるには最適な道具なのです。
グラフを提示した状態で結果の一文を記せば簡潔謙妥当性を判断する背景を読み手に与えることになります。手間暇かけて書いた報告書の有効性が高まるのです。
見栄えの良い報告書には一定数の図も必要になります。その図を写真やいらすとやではなく意味のあるグラフに変えてみましょう。