執筆:EugeneAmnis
カイゼン活動の目標設定の方向性
品質管理を実行する上でカイゼン活動・QCサークルと呼ばれる小集団活動は大きな役割を担っています。その活動を意義あるものにするためにも目標を定める必要があります。活動目標を設定するためにどの様なことを意識すべきかを記していきます。
2つのストーリ
古参の活動者であれば聞いたことがあるかもしれません。カイゼン活動を指導する立場の人はよくどのQC教本にも書かれているストーリに従って活動を指導しようとします。そのストーリは2つに大別されるのですが、個人的に問題解決型と呼ばれるものに沿わせる形に持っていこうとすることが多く見られました。
それはそれで悪くはないのですが、もうひとつの課題解決型と必要に応じて使い分けて指導すべき事柄だと個人的には考えていました。この2つの目標設定の違いは以下になります。
問題解決型
- 活動グループ内で困りごとなどを問題点を複数上げる
- 上げた問題点から、改善を行う問題点を選ぶ
- 対策案を検討し、具体的な目標を決定
課題解決型
- 指導者または会社が設定した課題を提示する
- 提示された課題に対して達成するための対策案を複数上げる
- 上げた対策案から実施する対策案を選ぶ
混ぜられたストーリ
乱暴に言えば、問題解決型と課題解決型の最大の違いは目標設定の権限が活動グループ内か活動グループ外かの一点になると考えています。
問題解決型ではどちらかといえば内輪の問題を自己解決するようなもので、メンバーにとっては活動を通して具体的なメリットを実感することが出来ます。また当事者意識の向上にも繋がります。
課題解決型ではある意味で上から押し付けられた課題を処理するもので、メンバーにはデメリットしかないように思えます。しかしそれは、一定の品質管理の知識・技術があるメンバーがいる場合のみです。ほぼ初心者の場合は適切な課題を設定することが重要になってきます。
多くのカイゼン活動の指導者は問題解決型のストーリに沿って進めるのは、メンバーの主体性や当事者意識を向上させることができるからでしょう。ただし途中から指導者が出っ張り、課題解決型にすり替える場合があります。
これは大変な悪手です。自分たちで問題点を出し合い、その選択権を行使しようとしている時に指導者から課題を提供される。普通に考えて士気は下がるのは避けられません。そんな事をするくらいなら、最初から課題解決型のストーリで動いたほうがまだ士気や当事者意識の低下を止めることができるでしょう。
更に経営上のリスクが発生したときは有無を言わさず、課題解決型を実行する必要があることを考えるとストーリの明文化は大変重要な事柄と言えます。